働く場合3年でだいたい全体像が理解できてくる…というけれど、確かに気楽にはじめたフリーランス(個人事業主)も年を追うごとに、考えに気楽さがなくなっていきました。
フリーランス(個人事業主)になるのは、会社員の頃にはなかった視点ができるのでおすすめ。でも守るべき人がいる人ほど、先が見えないままフリーランスになるのはおすすめしません。
その理由となるメリット・デメリットについて、私の体験談もあわせて紹介します。
フリーランス(個人事業主)を継続できる?起業後の生存率
起業から10年後の生存率は26%と、およそ3人に1人。
10年後も存続できているか?という視点で、時代の変化に合わせ、万が一の際のリスクに備えていく必要があります。
・起業から1年後の生存率は72%
起業後の生存率はどのくらい?廃業する理由などを詳しく解説!-起業・創業・資金調達の創業手帳
・起業から3~5年後の生存率は40~50%
・起業から10年後の生存率は26%
すでに十分な収入がないのであれば、特に家族がいる人が先の考えなしにフリーランスに転向するのはおすすめしません。
ただし「介護など家族のそばにいる必要がある」場合に、フリーランスを選んでいる人は多くいます。
「フリーランス」の響きから自由なイメージがあるけれど、10年後も食べていける何かが今の自分にあるのか?という点も考えておきましょう。
私のフリーランス(個人事業主)体験談!起業から辞めるまで
私がフリーランス(個人事業主)になるきっかけから、辞めるまでの経緯については、体験談を交えて記事にもしています。詳細の興味があればリンク先をご覧ください。
副業(ブログ)の収入が増えたのをきっかけに独立
忙しすぎて副業する時間の余裕も貯金もない→趣味で継続してたブログを収益化→退職してもとりあえずなんとかなるぐらい副業収入が増えました。
退職後は副業OKの仕事を探すのが大変だし、収入があると失業手当ももらえないので「ダメならまた会社員に戻ればいいや」ぐらいの考えで開業してみました。
開業したとたんブログ収益が激減
コアアップデートというのがあって、個人ブログは稼ぐのが大変な時代。開業してすぐコアアプデだけでなくコロナ禍もはじまって、ブログ収益が激減。
ただ前職の仕事は外注として引き継いでいたので何とかなりました。復業大事ですよ。ええ。
紹介によって仕事が安定
そろそろ会社員に戻ろうかな〜…と思うタイミングになると、不思議とこれまでのつきあいから新たな仕事依頼があり続け、計画性もなく営業もしないタイプの私がフリーランス4年目へ突入。
大手企業からもブログの問い合わせからお仕事依頼もあったので、名刺+PRサイトもおすすめです。
インボイス制度の悪影響を実感。先が不安になる
これまで通りにお仕事しているのに、理解していない人から「登録しない=脱税でしょ?」と言われる環境に。個人では複雑な経理に対応できないのが理由なのに、そう言われたら心折れるよ?
フリーランスの経験も活かして再就職
今後も大丈夫かな…不安になり、どんな求人がいまあるのかを調べてみる。やってみたい仕事かつ、副業OKという理想的な求人を発見。勢いで転職エージェント経由で求人に応募してみたら、経験を評価されて転職に成功
運良く「このお仕事ならまた会社員として働きたい」と思えた会社に採用いただけたので、さくっとフリーランス生活を終了の流れとなりました。
フリーランス(個人事業主)のメリット7選
私が考えるフリーランス(個人事業主)のメリットは以下の7つです。
1.そのお金は「投資」になる?の視点で無駄遣いが減る
最初はプライベートの通帳・クレジットカードを使っていたのでごちゃ混ぜ状態。
通帳金額の全てを「プライベート」か「事業」かの把握からスタートし、苦労しました。
そしてコロナ禍の給付金があり「助かった!貯金しよう」と貯めたら、所得が大幅UPした結果、翌年の税金負担が増えました。痛すぎる…。
「節税」というのを身をもって知るという
お金の使い方には大きく分けて3種類あると言われています。
- 浪費:いわゆるムダ使い
- 消費:欠かせない物の購入や使用料
- 投資:将来のために必要があるお金
「消費」と「投資」は事業にとって必要なものなら、経費にできます。
事業の経費になるものはしっかり経費にして、節税対策を行うのも大事。経費にならない「浪費」にお金を使うほど、所得が増える=税金も高くなる。
経費にならないものに、なるべくお金を使わないようになりました。
2.時間に縛られず自由にコントロールできる
会社員は○時〜○時まで勤務という風に時間を縛られるけれど、フリーランスになれば自分次第。
日中には歯医者に行ったり、ランチに行ったり…誰にも何も言われないので、自分で仕事をする時間を自由に決められます。
平日に休みをとれば、人気の観光地も人が少ない、平日価格があるなどお得もいっぱい。平日休バンザイ。
個人事業主の飲食店さんでもInstagramのストーリーズで開店・閉店の時間をお知らせ!便利な時代
会社員の場合は何か休みたい理由があっても、上司に許可をとらないといけないのが厄介。有給なら理由を言わなくて良いはずなのに、会社によっては理由を求められることも。
私ね、愛猫の寿命が近くて、病院に連れて行くために休みをとってたんですよ。ちゃんと誰にも迷惑をかけないように仕事を終わらせた上で、有給休暇。でも
そういうことで仕事を休むなんて社会人としてどうかと思う
と言われてしまいました。家族のつきそいでも何か言われてたしね。
家族になにかあったときにも、誰かの許可を取らずに時間を確保できるのは大きいなと実感しました。
3.選択肢は無限大。何にでもチャレンジできる
特にこれという専門分野がない私は、依頼されるがまま、自分にできそうな内容は引き受けてました。
- Webライター/Web広告/Web制作
- 業務のスポットアシスタント
- ドラッグストアの店員
- 選挙のウグイス嬢
- イベントスタッフ
ずっと在宅ワークだと飽きるし、運動量もヤバい…ということで、夜の時間帯で週2〜3回のドラッグストア店員もはじめたんですよね。
人手が足りない時に声を掛けられることも多く、何でも屋。個人だからこそ何しても自由で、さまざまな業種に興味の赴くままチャレンジできます。
私の周りのフリーランスも、時給のお仕事をしている人が多かったです
4.収入は頑張れば頑張っただけ!自分次第
固定給だと、頑張っても頑張らなくても給料は変わらない。
けれどフリーランスになったら、どれだけの仕事をスピード感をもってこなせるかで収入が変わってきます。
スキルをあげて単価をあげていくのも有効!
自分の手だけで足りなければ他の人に依頼したり、より時間をかけずに稼いでいける方法を模索していきました。
5.(他の選択肢もあれば)取引相手・仕事を選べる
他のところの見積もりでは○円だったけど(もっと安くして)
じゃあ、その人に頼んだほうが良いですよ〜どうぞどうぞ
お仕事が増えていけば、取引相手・仕事を選べるようになります。
パートもはじめたけれど、無償残業なんてもってのほか!だってその時間があれば他のお仕事で報酬を得られるので、無駄すぎる!!
と「理不尽なことを言われるなら辞めよう」という気持ちだったので、おかしなことはおかしいとはっきり口にしてました(笑)。
パートの同僚は人間関係etcで悩んでいる人も多かったので、環境を変えられない・選択肢がないとしんどいもの。心持ちが変わると、理不尽に悩まなくて良いものだなぁと実感しました。
6.「自分ごとになる」から真剣になって向き合える
より利益が増えるように、もっと自分ごととして考えなさい!
(そんなこと言われても〜…とりあえず会議が終われば逃れられるっ)
私、店舗の経営として店長を任されていたこともあるけれど、正直、売上がそれほど伸びていなくても必死で何とか対策しないと…と思わなかったです。(すみません)
レポート出して客観的な考察で終わり。だったのが自分ごととなれば、常にデータを見て、トライアンドエラーを繰り返して対応するようになりました。(自己責任なので許可も必要ないし)
自分ごとになると真剣になるので、知識・スキル・ノウハウといったものがより蓄積されていきます。
あーだこーだ言われたり、事前の許可が必要といった制限がなく、自分の思うようにチャレンジできるのも大きい
7.事業の大変さを知り会社の社長に優しくなれる
経営者に対し「ワンマン社長すぎる」と憤った経験もある人もいるのではないでしょうか?
会社組織が合わず、自分がやりたいことを形にしたら成功し会社化した…のなら、ワンマンで当たり前という認識に(笑)
フリーランスを経験するとわかるのだけれど、安定した収入を得るのは難しい。でも依頼が増えてより大きな売上にしていくためには人手が必要。
そうして雇う人数が増えていけば、会社化する必要があります。
こっちは必死になって稼いだお金で人を雇ってるのに、無駄にするなぁあああ!
お金を払う側になると、こういう気持ちになって当然。
「損したくない」「お金を使うなら効率的に投資したい」そんな気持ちは誰しもあるはず、なのに相手が会社(社長)となるとそんな気持ちが全くわからなくなる。
会社員と経営者の大きな壁。良く経営者に「経営者は孤独。会社員とは住む世界が違う」と言われていた意味をすごく実感しました。
フリーランス(個人事業主)のデメリット7選
私が考えるフリーランス(個人事業主)のデメリットは以下の7つです。
1.収入が不安定
毎月、最低限の収入を得られる会社員と違って、フリーランス(個人事業主)は収入が不安定。
課題は「継続」、一つのところに収入を頼っていると、契約打ち切りとなった場合に痛手です。
信頼の積み上げが次につながります
信頼を積み上げていくとお仕事の依頼も自然と増えていくものの、40歳を超えるとクライアント(担当者)が歳下になるケースも増えていき、年上には気軽に依頼しづらいかもと思うことも。
時代の流れの影響もあるので仕事の幅を広げておこう
どんな事業であっても絶対はありません。今やAIが文章やイラスト、画像を簡単につくってくれる時代。
複数のスキルで必要とされるようにしましょう。
自分の事業が安定するまでは時給なお仕事も組み合わせると、心の安定を得られます。雇われるってありがたい!と離れて実感。
2.忙しくても暇すぎても大変
忙しいと“もっと時間が欲しい”となるけれど、暇になると暇になったで不安に陥ります。
「この機会にスキルUPしておこう!」と前向きな言葉を口にしつつも不安がいっぱい
とにかく一人だと、忙しくても暇すぎても大変です。
忙しい場合には、同業の仲間がいれば、お仕事をふって感謝されることも。なるべく同じ業種の人と交流しておくのもおすすめです。
3.有給や福利厚生がない
フリーランス(個人事業主)には有給や福利厚生はありません。ブログなど事業によっては例外もあるものの、基本的には自分が休めば収入が途切れます。
仕事中に怪我をして働けなくなっても(基本的に)労災はありません
家族が仕事中の骨折で入院となり、数ヶ月会社を休むことになった際に「会社員は手厚い保証があっていいなぁ…」と思いました。
希望するフリーランスが労災保険に特別加入できるような支援の動きも広がっているので、今後に期待です。
4.事務作業も営業も全部自分で対応
夏休みの宿題は最後まで残すタイプだったので、確定申告の時期は毎回のように「なんでもっと早く手をつけていなかったんだろう…」という思いを繰り返していました。
得意・不得意で職種が分かれてた会社と違い、全部自分で対応
しっかり稼げるならば、確定申告のサポートは税理士に依頼をするなど、苦手な部分を依頼できるんですけどね…
何かトラブルが起こった時も、全て自分で対応しなければなりません。トラブル対応に追われることになれば、時間も失われる=収入にも影響。
チーム戦な会社員の良さも実感できます。
5.不規則・不健康な生活になりやすい
会社員の時には決まった時間に起きてご飯を食べて…と規則正しい生活を送っていたのに、フリーランス(個人事業主)になったら自由なので、不規則になりました。
朝まで仕事をして昼過ぎまで寝てたり…
少しでも不規則な生活を正そうと、定期の時間に作業が必要な委託のお仕事も受けたりしました
さらに私は、在宅ワークが中心になっていたので、歩かなくなる、肩が凝る、腰が痛いetc。
お仕事で食べ歩き取材を受けたら、体重が増えました。このままではヤバい!と危機感を持ち、健康のためにウォーキングも取り入れて、ダイエットにも取り組みました(1年ちょいで-13キロ!)。
意識しないと健康面にも影響がでるので注意が必要です。
6.社会的な信頼が低い
めちゃめちゃ稼いでいても「社会的な信頼」を得るのが難しい場合があります。特によく聞く話がこれ。
- ローン審査が難しい
- クレジットカードを作るのが難しい
- 賃貸の審査にも影響
何かしら壁になるケースが多いので、フリーランスになる前にやっておきたいことでもあります。
一般の人からはフリーランス=フリーターと勘違いされることもあり…「フリーランス」と伝えるよりも「個人事業主」と伝えた方が良いなということも学びました…。
7.国や自治体の制度設計に振り回される
コロナ禍のときには、国や自治体も事業をサポートしてくれる体制があったので、ずいぶん助けられた事業者も多いはず。
ただ一言、言わせてくれ。商売の邪魔はするな
現場をわからずに決めている感があると、それで現場の混乱を招き、ボロボロになることも。
政治=暮らし。商売をすると、法律や制度の一つひとつが生活に影響するのを実感。
誰がものごとを決めるかで商売のしやすさも変わっていくので、選挙の大切さを身をもって学べます。
フリーランス(個人事業主)が知っておきたいインボイス制度の影響
フリーランスになって実感したのは、事業者は「国の制度によって翻弄される」ということ。これからフリーランスになろう!という人にも影響するであろう『インボイス制度』への愚痴を。
個人的に今後も事業を営むには「誰かを雇えるぐらい稼ぐ覚悟が必要」と感じました
インボイスとは?を知りたい人はクリック
署名サイト最多となる50万人以上の反対署名がありながら施工された『インボイス制度』。
簡単にいうと、課税事業者が課税売上高1,000万円未満の免税事業者と取引する場合、免税事業者がインボイス登録しなければ(登録のためには課税事業者にならなければならない)、課税事業者が仕入れ税額控除されないというもの。
つまり免税事業者との取引は仕入れ税額控除ができないため、課税事業者が代わりに消費税を払うことになるのです。
新たに発生する消費税を誰が負担するのかという押し付け合いに
免税事業者は売上規模が少ないため、免税=サポートする控除のような意味合いだと思っています。免税事業者がインボイス登録しない(課税事業者にならない)理由は、主に以下のような理由です。
- 税理士に依頼したいほど複雑で理解が難しい経理処理が発生。特設サイトのQ&Aは130問以上…(プロに依頼するほどの売上がない)
- 消費税込と考えた価格設定にしていたのにさらに消費税?!(簡単に値段を上げられない)
- 対応した会計ソフトの導入&事業によっては対応レジの導入
- 赤字でも払う必要がある消費税は延滞金14.6%(税金は債務整理できないので会社組織でない個人ではリスクがある)
人によって理由は異なるけれど、インボイス制度は仕組みが複雑すぎるうえに、負担が増えるため「登録しても大丈夫?」という不安のほうが大きいのです。
小規模な免税事業者は人を雇ったり、税理士さんに依頼するほどの余裕はなく、全ての事業を全て自分の手の届く範囲で行っている人がほとんど。
なのに免税事業者=脱税者という悪のイメージに…
スタートアップの人や、アーティストや技術者(一人親方など)、高齢でほそぼそと事業を続けてきた人など…。さまざまな個人事業主の心を折れさせるには十分な制度だと思っています。
フリーランス(個人事業主)になるなら覚悟をもとう
私は「月々の生活費さえ稼げれば良いや」という気持ちでいたのがダメだったと思っています。実際それでもフリーランスとしてやっていけるけれど、老後を考えた結果、不安になって辞める人も多い印象です。
フリーランス(個人事業主)になるなら、副業で50万円以上は継続して稼げるスキルが欲しいところ。50万円でも安心できないかも。
- 自分で払う経費やさまざまな税負担(所得税・住民税)が発生
- 税理士さんに経理への依頼を前提(適当だと調査が入ったときに大変)
- 手厚い「保証」がないため将来に備えた貯蓄や新たな事業への投資が必要
事業がうまくいかずに廃業する際、40代以降の年齢になっていると転職の可能性がぐっと狭まり、生活費も稼げなくなると大変。それが現実。
- 失敗しても良いと考えるなら若いうちがおすすめ(やり直せる)
- ある程度の年齢・家族がいるなら、先行きが不安定なまま独立するのはおすすめしない
- 受注してから必死に努力する“ハッタリ”もできて、単価UPの交渉をできる性格の人が向いている
フリーランス(個人事業主)として独立するのなら、社会の活性化に貢献できるような「会社化」するぐらいの覚悟が必要だと感じました。
成功している人はさまざまな事情で「自分にはこの道しかない」という覚悟で向き合ってきた人がほとんど
必死でさまざまな方法を模索していたし、チャレンジし続けていました。悩みながらも困難を乗り越え、個人事業主を継続している人たちをすごく尊敬しています。
覚悟が持てない人は、会社員として安定した給与を得ながら副業でスキルを積み重ね、収入を増やす方法をおすすめします。副業OKな会社員に戻ったら、安定した給料+頑張るほどプラスで増えていく楽しさを実感中。
安定を求める人は、会社員+副業・復業が最強
副業をするために決まった時間を作れない&それほど金銭面で不安なわけではない人は、ゆるっと増やしていける副業ブログがおすすめです。
ただフリーランスの経験はムダではなく、自分で考えて動ける姿勢を評価してもらえ、キャリアアップにつながりました。自由度の高いベンチャー企業は、フリーランスの気性にもあっていると思います。
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